光に向かってシリーズ(高森顕徹著)の裏話

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金銭を診察したことはない(その2)
光に向かって100の花束』82話
金銭を診察したことはない
技量だけではなかった名医


 3月5日に書いた、次の話について、別の本にも出ていました。

 家康の第十男、徳川頼宣が藩主であった紀伊(和歌山県)に、奈波加慶という名医がいた。
 江戸から帰ったあるとき、紀伊国第一の富豪、鴻池孫右衛門が重病で苦しんでいる、ぜひ診てくれないか、とたのまれた。
 鴻池の使者はそのとき、加慶にこう言った。
「鴻池孫右衛門というお方は紀州第一の大金持ちであります。どうか他の病人よりも、丁寧に診察してくださるようお願いします」
 とたんに加慶のきげんが悪くなり、きっぱりと、断ったのである。
「先ほど、ご依頼をうけたときは、さっそくご診察申し上げようと思いましたが、あなたのお言葉を承って、もはや診察申し上げる気はなくなりました。なにとぞあしからず、孫右衛門さまにも、このよしお伝えくださるよう」
「それはまた、どうしたわけで……」
 驚いてたずねる使者に加慶は、こう諭したという。
「別に理由というほどのことではありません。ただ初めは、重病人でお困りときいたのでいって診ようと思ったのです。ただいまのお言葉だと、大変金持ちであるから、丁重に診察せよとのこと。私は今日まで病人は診察してきたが、金銭を診察したことはありませぬ」
 感服した使者は、非礼を詫びてひきさがったという。
 さすが当代随一の名医、技量だけではなかったのだ。
 権勢にも左右されず、富貴にも心を動かさなかった加慶の優れた人格に、医は仁術をみたのであろう。


この話が、『日本例話大全書』(有馬 朗人, 奈良 康明, 中西 進, 宮坂 宥勝)に載っていました。

 紀州(現在の和歌山県)徳川頼宣の儒臣、奈波道円の甥に、奈波加慶という針医師がいました。江戸で修業して名声をえて、伯父の招きで紀州へ帰ってきていました。ある日、紀州きっての大富豪鴻池家から使いが来て、病気で難儀をしているから往診してくれ、というのです。
「先生、ご承知でしょうが、鴻池家はお金持ちですから、他家の病人よりひとつ、ていねいに治療をお願いします」この使者の言葉に、加慶は出かける支度をやめてしまいました。
「ご病人だというから行ってあげようと思ったが、その口上を聞いていやになりました。ご主人によろしくお伝えください」
「なにか、お気にさわりましたか」
「初めは、ただの病人だから来てくれとおっしゃった。それなら、と行くつもりでしたが、いまの言葉では、お金持ちだから他の病人よりていねいに治療をせよという。わたしにはその意味を理解しかねます。医者が病人に対するときは、ただ病気を治してあげたいという一心だけで、ほかの考えはなにもありません。きょうまで針を打ってきましたが、まだ金銭に針を立てたことはございません。お金持ちだからといって、別の療治をすることは知りませんので、お断りします」
 加慶はキッパリと拒絶しました。
JUGEMテーマ:読書
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