光に向かってシリーズ(高森顕徹著)の裏話

『光に向かって』シリーズファンが、もうちょっと深く掘ってみました
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約束は、必ず、はたさなければならない
光に向かって100の花束』2話
約束は、必ず、はたさなければならない


この話は、以下のように始まっています。
歴史家で有名なナピールが、ある日、散策していると、路傍にみすぼらしい少女が陶器のカケラを持って泣いている。


親一人子一人の貧しい生活をしていた少女は、親の大病のために牛乳を買いに行こうとして、借りた陶器(牛乳びん)を割ってしまい、泣いていたのです。
そしてナピールが、「割れた牛乳びんのお金は、私があげるから、明日ここへおいで」と約束して別れたところ、翌日にナピールの研究のスポンサーになろうという富豪が現れ、「すぐに来い」という連絡を受けます。
しかしナピールは、少女との約束を果たすために、その申し出を断りました。
後日、経緯を知った富豪は、一層ナピールを信頼し、強く講演するようになった、という話です。

さて、このナピールさん、どういう人かよく分からないのですが、いくつかの本で、同様の話題が掲載されていました。
それぞれ、少しずつ、設定が違います。

花岡大学『人生の花たば』
心の中の「秤」
歴史家として有名なサー・ウイリアム・ナビールが、ある日、散歩の途中、こわれた陶器のかけらを持って泣いている少女にであった。
わけを聞いてみると、病父のために牛乳を買ってくる途中、おこりっぽい家主から借りてきた器を落として、こわしてしまったとのことであった。
ナビールは、かわいそうに思って、弁償してやろうとポケットに手を入れたが、あいにく財布を持っていなかった。
そこで、
「あしたの今ごろ、ここへくれば、おじさんが、器の代金をはらってあげよう」
と、なぐさめて、別れた。
ところが、翌日、友人から手紙がきて、ナビールの研究を補助してやってもよいという貴族が、この町へきているからくるようにと、その時間を知らせてきた。
貧しいナビールには、自分の研究に補助金がぜひ必要だったのだが、その貴族にあいにいけば、娘に約束した時間にいけなくなるので、
「先約があって、あわねばならない人があるから、きょうはお尋ねできない。失礼だが、つぎの機会にしてほしい」
と、友人に返事をした。
貴族は、傲慢な奴だといっておこったが、のちに、ナビールが、少女との約束を果たすためにこなかったことを知り、かえってナビールの人格を深く尊敬して、進んで補助してくれるようになったということである。


小原國芳『例話大全集』
軍人ナピールと少女の米束(同情・信義)
英国軍人ソル・ウイリヤム・ナピールは、ある日、途上で壺を抱えて歩いて来る一少女を見た。何としたことか、行き違いざまにその女の子は壼を取り落としてしまった。ナピールは何のゆかりもない偶然の出来事であったが、どうしてもそのまま行き過ぎてしまうに躊躇せざるを得なかった。女の子は散らばった壺のかけらを拾いながら、すすり泣いていた。身なりは思ったより貧しげである。ナピールは慰めたが、少女は慰めると余計に悲しさがこみあげるらしく、泣きじゃくった。ナピールは、そう上等でもない壺のことゆえ、
「もうそんなかけらを拾うのはおよし。この小父さんが買ってあげようから、ね。」
ナピールの不用意なこの言葉は、少女はともかく、ナピール自身、不思議なような気も一瞬した。が、その言葉は少女の顔に明かるさを注ぐ唯一の力であった。
「ほんとう?」
「ああ、うそなんかつかないよ。小父さんはだって軍人だよ。」
とナピールは完全に少女の明かるい視線のとりこであった。
「あっ、いけない。」
ナピールは悪事でもしでかした気がした。財布を持って出ていなかったのである。
「おじさん、財布を持って来てないみたいなんだよ。」
とあわてて、軍服のあらゆるポケットを探すナピールであったが、同時に、日がかげるように曇って行く少女の顔であった。
「いいよいいよ。ね、明日まで待ってくれないか? ね、明日までぐらいだったらいいだろう? 大丈夫、きっとおじさん、明日のちょうど今頃、お金を持ってここへ必ず来るから。ね、そんならいいだろう。」
少女は、しばらくたってから、こっくり一つ大きく頷いた。
ナピールは帰宅してみると、上官から晩餐の招待状が舞い込んでいた。見れば、その時刻はきょう約束した時間とほほ同時刻であった。ナピールは遂に上官の招待を断って、翌日定刻、昨日の場所に、新らしい壺を買って持参したのである。


有原末吉『教訓例話辞典』
ランケの精神
ランケ(一七九五-一八八六)はドイツの有名な歴史家であるが、彼には次のような挿話が伝えられている。
ある日、読書に疲れて郊外を散歩していると、道に一人の牛乳配達の少年が泣いていた。
近づいて見ると、路面には多くの牛乳瓶が転がり、あたり一面に洪水のように牛乳が流れていた。道を急ぐ途中、石につまずいて牛乳瓶を落してしまったのである。
ランケは気の毒に思って立ち止まり、牛乳瓶を拾い集めてやると、少年は破れた瓶を取り片づけた。「君、大変な目に逢ったね。主人から叱られるだろうね」と聞くと、少年は「はい、大してしかられはしませんが、弁償はしなければなりません」という。「そう、弁償はいくらくらいだね」「よくわかりませんが十五マルク(約千四百円)ほどでしょう」「十五マルクか、君困るだろうね」「はい、家が貧乏なものですから」といいながら、少年は空瓶を集めて立ち去ろうとする。
ランケはそれを呼び止めたが、あいにく今日は財布を持っていなかった。「君、お気の毒だから弁償の金をあげたいがね。今は持っていないので、明日ちょうど今頃ここにきてくれないか。必ず持って来るから、君もきっときてくれよ。ではさようなら」と別れた。
ところがその翌日、友人からの手紙が届いた。それは君に学問の研究費を寄付したいという富豪があって僕の所に訪ねて来るから、ぜひ逢いにきてくれというので、それがちょうど今日であった。ランケは自分の歴史の研究に後援してくれる人があると思うと大変にうれしかった。しかし、はっと昨口の少年との約束を思い出した。自ら助けられる前にまず人を助けなければならぬ。それがランケの他人に対する責任感であった。「折角であるが、今日は止むを得ない先約があって行くことができない。どうぞ悪しからず」と彼は友人に返事を書いた。


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